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谷川俊太郎の鳥羽が来た。
大江健三郎の核時代の想像力のせいだ。
万延元年のフットボールのときは、来なかったのに。
今回はその分も来た。
先日、オオがおねしょをした。
すこしヒリヒリした面持ちで洗面所に走っていった。おれは眠かった。気づくと布団に紫のタオルが敷かれていた。夢の出来事のようだった。
夜にオオが仕事から帰ってきて、「今朝おねしょしてた?」と訊いたら「してないよ」と言っていたが、表情で夢じゃなかったのだと分かった。この期に及んで騙そうとしてる根性が気に食わなかった。
近所にコインランドリーがあるのは便利だ。
一人暮らしをしていた時は、使い方が分からなくてこわかったから使ったことがなかった。
あの頃使っていた毛布とか羽毛布団はすべて捨てた。
今日は昼から友達と会う予定だったが、夕方に起きた。生コンのようなどろっとした気分で携帯を見ると、友達から「体調わるいからまた今度でいい?」とメッセージが来てて安心した。続いて「計ったら熱はなかった」とも来ていたが、職場じゃないからべつに言わないでもいいと思った。
オオが「この傘壊れちゃったんだよね」と見せてくれた傘を持ってスーパーに行った。途中雨が気になり出したので差した。スーパーについて畳もうとしたら骨がずれて畳めなかった。無理やり握ってベルトを巻いた。ビニールから骨が飛び出る音がしたが、確認はしなかった。
マンダリンオレンジを買った。前買ったものとすこし違ったので躊躇った。
スーパーを出て傘を差すと、やや抵抗されたが、なんとか開いた。玄関でまた畳めなくなった。苦戦してる間に蚊に刺されたくないから、そのまま地面に置いた。帰ってきたオオは笑っていた。
豚肉と新生姜とキャベツを梅と蜂蜜と酒と醤油で炒める、簡単で美味しい料理を作った。楽だからよく作る。
オオは同じものでも、はじめてのものでも、失敗したものでも、よく食べて「ン〜」と言ってくれる。おれはいつも何かを改善しようとしてる。
近所に冷凍餃子の無人販売所が出来た。にんにくが大量に入っていた。刺激が強かったので驚いた。
この間、蒸し焼きしてる最中にふと思いついて「揚げ餃子にしてみていい?ちょっと油の処理が面倒だけど」とオオに言ったら、「いいね〜」と言ってくれた。焼き餃子はあまり惹かれない。水餃子はきれいだから好きだが、あえて食べようとは思わない。揚げ餃子はそれなりに成功したが、蒸してたところにいきなり油を入れたせいで跳ねてあぶなかったことと、一気に揚げたせいで出来がまちまちになってしまったことは覚えていようと思う。
料理も一人暮らしの時は一度もしなかった。せめて不健康でいようと考えていた。安部公房のバベルの塔の狸の顛末を思い出した。ウィキペディアの写真も餃子を作っている姿だったはずだ。
安部公房は谷川俊太郎のことがあまり好きじゃなかったらしいが、亡くなる一年前に評価を改めたらしい。
来年死ぬつもりで生きることにする。